彷徨える宇宙人(滅びゆく惑星編)

HPTOPへ
嘘空間記へ

(序章) (サドン編) (ダークスペース編) (異次元の謎編)
節リンク  (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)


(1)

 「あぶく(泡)が弾けただけで、こんなに吹き飛ばされるとは!」 ウリキが手を広げながら嘆息する。
 「そこに、時間因子が加わって、相乗効果がでたのよ!きっと!」 ターワも声をはさむ。
 「異次元界にいたんだ!我々の理屈は通用しないんだと思うよ」 セエタが言う。
 「答えは簡単には出ないな」 キメロン。

 「q粒子から離れた可能性は高いから・・・」 と、カインがリーダーシップを執る。
 「キメロン、近い天体を目指して、出発だ!全員スタンバイだ!」 全員が安全確保状態に入る。
 
 「オーライ!近い天体に向かって、航路をセット!イオンエンジン始動!」 キメロンの声。
 だが、すぐ。
 「なんだ!これは!」 けたたましい声に変わる。
 「どうしたんだ!」
 「なに!これ!」 口々に叫ぶ。
 
 「猛スピードが出ている」 シャーリキが叫ぶ。
 「エンジンを止めろ!」 カインが叫ぶ。キメロンが直ちににエンジンを切る。
 
 「何が起こったんだ!」 
 「わからん!出力、全開状態での起動だ!」 キメロンが首をすくめる。「近い天体とはいえ、ずいぶんと、遠いからな。到達さえ危ぶまれる距離さ!」
 「何光年か、何十光年か、そんなもの分かるものか!」 ウリキがまた嘆息する。「なにしろ、天体データが無いんだ!」
 「なるほど」 と、カイン。「もう一度、各部所を点検してくれ!」 
 
 全員が持ち場の点検に回る。
 やがて、異常なしの声が、各メンバーから届いてくる。
 「全箇所異常なしか!」 カインが一人語ちた。
 その時、遅れてやってきたターワが、思案顔で言い出した。
 「RB(放射線エネルギー吸収バッテリー)がちょっと変です」 と。

(2)

 「どう変なの?」 
 「エネルギーの残存量を示すメーターが振り切れています。指針は200%以上です」 
 「RBは閉じていなかったのか?」 
 「ハイ!先ほどの異次元界では反応を見せませんでした」 ターワがきっぱりと言った。
 「あれは、あのスピードは、単なるエネルギー量だけの問題では無いと思うよ」 と、キメロン。

 「もしかして、ダークエネルギー?」 セエタが口をはさんだ。
 「お出でなさったか!セエタ様のお出ましだ」 と、ウリキ。
 「ひらめき専用の頭だぜ!」 と、シャーリキ。
 「これは、ミステリーエネルギーだわ!」 専門家のターワが首をひねる。
 
 異次元からのエネルギーか?その可能性は非常に大だ!居合わせたみんなが、そう思った。
 対策が話し合わされる。
 
 ”慎重に、これに対応する”のが、まず最初の結論だった。
 「シャーリキは、今見える天体データを大急ぎつくってくれ!」 と、カインが要請する。 「その後で、キメロン、最低出力からの起動だな」
 「オーライ」 二人が応える。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
 出来上がったばかりの、新しい天体図、バル太陽系に似た太陽系プラネットを捜す。
 幾つかのプラネットが浮かび上がる。
 そして恒星VS303系プラネットが、その目標となった。
 
 そのころ、かの、ミステリーエネルギーは試され、4Dエネルギーエンジン(4DE)として、従来のイオンエンジン上に付加された。
 4Dの意味するところは、四次元である。画期的な時間速コントロール可能なエンジンとして登場したのである。

 時間速とは”目標点と、目標点到達までの時間を設定すれば、目標点にその時間に到達する”速度のことである。
 当然、瞬間移動も可能である。
 現実的には、目標点が安全な場所であるか否かが問われるだけでなく、船体と乗組員の身体の安全性も問われる。
 4DEは、豊富な時間流の存在する空間のみで利用可能なエンジンであろうか。
 
 「さきの異次元空間で得た、このエネルギーをタイムエネルギー(TE)と名づけよう」 と、カインが言った。
 「エネルギー量は?」 と、セエタが聞く。
 「まだ不明だ」 と、カインが応える。「慎重に大切に使わねばならない!」 

 (3)

 「VS303系に近づこう!安全を確かめつつ、少しづつだ!」 カイン。
 「いよいよ、プラネット(惑星)トレッキングが現実味を帯びてきたんだ!」 めずらしく、キメロンが興奮気味に発声した。
 「スタートレッキング!スタートレッキングのほうが格好良いな!」 セエタが顔を赤らめて言う。・・どこかで聞いたような名前・・サドン語だが・・。
 「早く、住める星を見つけるべきさ!」 ウリキが、「悠長なことを言うな」 と、たしなめる。

 そんなことから、新たにタイムエンジン(4DE)を装備した宇宙船サドン号は、急速に慎重にVS303太陽系に近づいて行った。
 
 「第三惑星が有望!」 シャーリキが告げる。
 「大気がサドンに似ている!」 ウリキも声を高めた。
 「大気圏内に突入する!第三惑星の高所!空き地広場に着陸!」 カインが号令する。
 「シャーリキ!着陸位置探査!」 カインの指令が続く。
 「OK!、待って!この星には文明がある!」 シャーリキが叫ぶ。
 「バランス軌道上を回れ!高度5500km!」 カインが指令を変える。「この惑星面を探索する!」
 「攻撃される可能性あり!全員十分注意せよ!キメロン瞬間移動スタンバイだ!」
 「オーライ承知!」 と、キメロン。4DEは最高の防御装置でもある。
 「人工衛星多数あり!」 ウリキが報じる。「避ける!」 キメロン。
 「高度アップ!40000km! 人工衛星ならびに地表を監視せよ!」と、 カイン。

 「高度約36000kmに人工衛星が多い。ここが静止軌道位置だ。我々も人工衛星となり、軌道傾斜角10度で偵察を行う!」 カインが告げる。運行幹部達の相談結果でもある。

 星の上空軌道を無数の人工衛星が舞う。
 サドン号も、ときおりイオンエンジンを吹かしつつ、高軌道から星の地表をや飛び交う人工衛星の観察を続ける。

 ”知的生物的なエネルギー活動が認め難い。”これが観察の結論であった。
 ”この星の文明を創造した知的生物の現状は?” 上空からは謎として残る。
 「なぜだ?」 

 彼らは第三惑星の地表へと降りてゆく。様々な建築物が、いたる所にある。
 降りるに連れて、建築物には、風化や損傷、植物の進出が見えてきた。
 ”これは、過去の文明だ!” と、全員が思う。
 建築物の密集した地域の郊外、広場に宇宙船サドン号は着陸した。
 故郷惑星サドンを出発して後、初めての地表面である。

(4)

 「これは快適な星だ!」 「住める!」 口々に乗組員が声を発する。

 ”建造物の構造から見れば、ここの知的生物は我々に似た生き物らしい” 地上に降りて、周辺をうかがって、そう思った。
 ”しかし、ここに住んでいた知的生物は何故いなくなったんだ?”
 ”滅びたのか?この星を脱出したのか?”
 ”その理由は?”
 
 「とりあえず宇宙船から出て、生活をしてみよう。幸いなことに、住家はある」 カインが告げる。
 「ウリキとシャーリキは欠かさず観測を頼む。太陽(VS303恒星)や惑星の動向には特に留意してくれたまえ。交代でOKさ・・」
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 植物は生え茂り、動物の姿も眼につく。
 水はあり、流れもある。大気が循環しているのだ。
 
 「ここの構築物には特徴がある」 構造建築を得意とするタムが言う。「炭素化素材が多いことだ」 と。
 「この建築物の柱につかわれているのは炭化木材だ!」
 「うん、途中の通り道の端々、小川の堤防・堰堤も黒っぽい!」 カインも同意する。

 「ちょっと!これって、ダイヤモンドじゃない!」 ジョートと共に部屋を見て回っていたスジイが、箱を持って現れた。
 「なんて大きさ!本物とは思えないけど!」 ジョートも興奮気味である。
 小箱の中にはダイヤらしきモノが数個、太陽の光を浴びて輝いている。
 「うーん、ここは宝の星かな!」 と色めき立つメンバー。が、「我々に価値があるのかな?」 セエタが疑問顔をする。
 「ダイヤも炭素の結晶よ」 と、マユル。

 「この壁も黒っぽい。炭化物が混じっていそうだ」 カインが言う。「炭素がやたらに多いようだ」 と、回りを見やる。
 「他に、石灰石加工物が多い。崩壊が進んでいるのは木材加工物だ」 タムがあいづちを打つ。「我々のサドン建造物に似ている。大きく異なるのは炭素化物が多いことのようだ」 と。
 「これも興味ある謎」 と、セエタが大人びた腕組み。
 
 辺りには食用可能そうな植物も見られる。
 「宿舎もあるし、久しぶりに野外料理をふるまおう!」 トックが高らかに声を発する。
 「大賛成!」 スジイとジョート。そして聞いていた皆が喜ぶ。

 (5)

 ささやかな、しかし快適な野外会食。久しぶりの、狭い船内からの解放感。
 明るい太陽光の時間帯は過ぎてゆく。
 
 「あれは何!」 突然、スジイが、上空を指差しながら声をあげた。
 「オーロラだ!」 シャーリキと替わって野外に出てきたウリキが応じる。
 「太陽風がこの惑星の磁場を乱しているのだ!。かなり強い太陽風がでているのだ!」 
 「ここは、この星の極地か?」 カインが聞く。
 「極地に近い!」 ウリキが答える。「しかも、冬季だ!」 と。
 「冬季でこの暖かさか!強い太陽風とは、太陽の表面活動が活発なのだ!」 ウリキが追加する。
 「この星は永く住むには適していない!」 と。

 太陽風とは太陽から噴き出すプラズマ(イオン化した粒子)である。水素・ヘリュウムおよびそれらの同位体も含む。
 オーロラが現れる時は、太陽の活動が活発な時である。

 ”この太陽(VS303恒星)系は、不安定な時期に入っている可能性があるのだ!” ウリキの言葉から、聞いていた全員がそれを感じた。
 
 太陽(恒星)は誕生以来、次第に明るさを増してきた。
 永い年月を経て、この明るさの増大が、この系の惑星の温度を上昇させる。
 様々な要因も加味しながら、生物の住む環境を狭め、やがては、住むことすら不可能に至らしめるのである。
 今、この太陽は、かって住んでいた知的生物の判断を、この惑星から脱出する方向へと決めさせた。多分、十分な余力の有る内に!
 ”この星は、生物が生きるには絶望的な方向を向いているのである” と思わせた。
 
 「だが、絶望が近づくのは、今日明日の事ではない!我々の宇宙船のメインテナンスを十分に行い、同時に4DEやTEについての知識も深めねばならぬ。全員で取り掛かろう!」 と、カインが述べる。
 全員がうなづく。
 
 とにもかくにも、今のところ、結果として、宇宙の旅の第一段階(?)は、無事に進んでいるのだ。

 「セエタ!どうした?」 浮かぬ顔で、腕組みをしているセエタにカインが声をかける。
 「ここに住んでいた知的生物は、我々に似た文明人であったのでしょう?多くの文明人がどうやって、一人残らず、この星を去ることが出来たのか?不思議なのです」 と、セエタ。
 「そのとうりだよ!セエタ。実は、まだここに住んでいる可能性もあるんだ!」と、 カイン。「みんな、行動に十分注意してくれ!」 と。
 「了解!」 全員が応じる。
 「未知の生物ばかりだ!」 キメロンも注意を喚起する。

(6)

 時、日にちが過ぎてゆく。
 この星に関する多くのデータが収集される。
 サドン号の修理が終わり、4DEに関して、今可能な知識の整理やマニュアルが作成される。
 宇宙における時間エネルギーの分布も議論される。まさに未知の領域であった。
 狭い範囲ながら、到着地周辺の探索も行われる。

 タムとセエタが中心となって木造小屋を作った。
 簡単だが25人が入れるサイズであった。数人が寝泊まりできる床も用意した。
 好評であった。

 「もう、この星に住もうか?qレイも無さそうだし」 食材の豊富さに確信を得たのか、トックが冗談雑じりに言う。
 「そうね、この緑色の自然がたまらなくいいわ!」 と、スジイが合せる。
 「おいおい、問題ありだよ、この星は!」 と、ウリキ。
 「ホントのところは分かってないのさ」 と、シャーリキ。
 今、二人は珍しく、観測から離れている。
 「長い宇宙空間の旅で、みんな緊張の連続だったんだ」 と、キメロン。
 「確かに、この星に関しては、まだまだ不明だ。住み続けられるものならば住み続けたいが?」 カインが締めくくるようにつぶやく。
 「そう簡単に、この星の近未来データは把握できないよ」 ウリキも真顔である。

 小屋の落成記念か?、全員が集まって、食事パーテイが始まった。
 「ここの生物は、サドンの生物によく似ていると思わない?」 と、ジョートが生物学者でもあるマユルに聞く。
 「似ているわ!まるで亜種と思えるものが多いわよ」 と、マユル。
 「そのとうり!建築物のサイズも間取りも仕様も、すべて我々にも適合する。ここに居た知的生物は、我々に酷似している筈だ!」 タムが断言する。
 「なぜ?」 隣に座したセエタがつぶやく。
 「星の環境が似ていれば、生物も似てくるのよ!きっと!」 マユルが見解を述べる。
 「その知的生物だが」 と、普段はもの静かなシャクラが言う。 「かなり高い科学力を持っていたと思う」 
 「たとえば?」 セエタが聞く。
 「例えば、人工衛星。例えば、炭素化素材、スジイが見付けたダイヤモンドも人工物かも知れない」 まだまだ有るとの、シャクラの素振り。
 「そうだ!そのとうり!彼らは宇宙船を開発して宇宙へ飛び出したに違いない!」 キメロンも合鎚を打つ。

 木造小屋は疎らな樹林の陰に作られ、開放的である。
 近くに小川も流れている。

 (7)

 「私、ダイヤモンドの製造装置が見たいわ!」 スジイが言う。
 「僕は宇宙船の発射基地が見たいよ!」 セエタも言う。
 「おそらくは、人工衛星の発射基地に並存しているかも?」 キメロンが興味深げに同意する。
 
 その直後であった。
 「宇宙船の発射基地は無い!」 突然の声!
 解放されていた小屋の入口から数人の人影が現れた。
 頭部にはヘルメットを付けている。
 発した言葉はサドン語であった。
 突然のことである。全員が驚く。しばし間を置いて、カインが制止、冷静に対応する。
 「あなた方は何者ですか?」 と。

 「我々はこの星の住人。この星の名は地球」 ヘルメットに取り付けたマイクを通じて、中央の男が語る。
 「私が、あなた方の言葉を話すのにも驚かれている様子ですが、まず最初にその説明をしましょう」 
 「我々は、あなた方が地球に接近してくるのを知っていた。あなた方の科学力や性質を警戒し、息をひそめて慎重に対処した」
 「あなた方が、地上に降り立った後も同様である」
 「あなた方の言葉を理解することは重要です。言うまでもないですが、あなた方を理解し、コミュニケーションをとるために必要ですからね。そして今、ここに現れたわけです」 ここで、彼は少し間をおいた。
 ある種の緊張感が、互いの間に満ちている。
 
 カインが言う。「我々はあなた方の敵ではない」 と。
 地球人の男も言う。「そのように期待します。あなた方は地球の細菌にも抵抗力があるようです」 と。
 「実は」 と、カイン。
 「この星は、地球と言う名の星は、我々の飛び立ってきた星、サドンとよく似ています。海も川も山も生物も、それに知的生物である、あなた方も」 と。

 「だから、微生物も似ている。抵抗力も似ている」 カインと、その地球人が合わせた。
 思わず、両方の集団に、同時に、共通のの笑いが生じた。
 平和の笑みである。
 「我々は互いに共通する存在として、お話を聞かせて下さい」 カインは述べる。「我々は、あなた方に、どのようにして説明して良いのか分からないほどの遠方の星から、それに関連する奇妙な経験をして、この星にやって来ました。もちろん、それらの事もお話させて戴くつもりです」
 「似通った共通の同類であるとして、お付き合いいたしましょう」 地球人のその男も返答した。
 「では、お先に、我々の、ここに至った経緯を説明しましょう」 カインが突然の訪問者としての、敬意をもって語りだした。

(8)

 カインの地球人に対しての説明は、要領を得ていた。
 地球人達の間にはドヨメキがあった。
 とりわけ、時間流の異次元帯脱出の場面に、それが大きかった。
 間をおいて地球人が話出した。

 「我々は、この星、地球に、置きざれにされた人間達です」 今度はサドン人達が固唾を呑んだ。地球人が続ける。
 地球人が地球を脱出したのは2135年のことである。
・・・ その経緯は’SOSブラックホール’特に(パート3)を参照していただきたい。・・・
 「我々は、何十億という人間がネオUとなって地球を脱出した際、脱出をためらったり、情報の行届かなかったりした人間の系統です」
 
 「その後も、地球は異常気象が続きます」
 地球の異常気象は2000年代に入ってから顕著となりました。地球を取り巻くオゾン層の破壊がありました。化石エネルギー利用による大気中炭酸ガスの増加等による温暖化がありました。また、原子力の誤った利用による環境破壊が進みました」
 
 「地球の国々が、自国の防衛のため、だと称して核武装を行ったのです。原子力発電も利用しました。当然のこととして、事故も生じます」
 
 「地球の世界中に快適な環境が減少してゆきました」

 「加えて、太陽が、その動きに変化をもたらしてきたのです」
 「太陽の磁場の変化は、地球の温暖と寒冷に密接に関係していたのですが、当時活発な磁場をもたらす太陽の黒点が減る現象が続いたのです」
 「これは、地球大気への太陽系圏外からの、多量の宇宙線の侵入を許すこととなり、普通ならば地球を寒冷化します」
 「宇宙線は湿度のある大気中で、水滴の核をつくり、雲を形成します」
 「この雲が太陽光線を妨げ、地球を寒冷化するのです」
 「しかし、大気中に増加した炭酸ガスの影響で、どちらかと言えば、地球は温暖化傾向だったのです」
 「人々は、一部の学者をのぞいて、ほとんどの人々が、これ、太陽黒点による、寒冷化現象兆候に関心を示さなかったのです」
 「温暖化を止めることに、つまり、大気中の炭酸ガスを減らすことの方に集中したのです」

 「大きな不幸は、この後始まったのです」

(9)

 「石油、石炭、天然ガス、メタンハイドレートなどの化石燃料の使用を徹底的に減じてゆきました」
 「炭酸ガスを吸って成長した樹木の炭酸ガス化をおさえるため、木材炭化が進められ、建造物に炭化木材が多く使われるようになります」
 「あなたがたもお気付きのように」 と。 カインたちも頷く。
 「そして、大気中の炭酸ガスは次第に減って行きました。快適な温度環境へと変わってきたのです」
 「丁度いい温度環境。それは、その時の太陽の活動状態と共にあったのです」
 「太陽の黒点が増えれば、どうなるか、油断がありました」

 「黒点の活動は収まりかえったまま、一向に活発化しません。実は、地球は歴史的にみると、人類が観測を始めてからではありますが、太陽黒点が少ない期間が続きますと、気温が寒冷化することが解っていました。過去には、1700年ごろには、小氷河期と言われる時代もありました」
 「大量の宇宙線が侵入し、雲の発生をうながし、太陽光を遮るからです」

 「このような時代が現実にやってきました。」
 「地球人類は動揺します」
 「贅沢に慣れっきった地球人が、この寒さに対抗します。 ”炭酸ガスは寒冷化を防ぐ!化石燃料が寒さから我々を守る!” 
 このような短絡的な発想が、その場しのぎの発想が、支配的になります。実際上、大多数を占める人々が、寒さから身を守るにはこの方法だけだったのです。大多数の住居そのものが、これら化石燃料仕様だったからです」
 「そうして、大量の化石燃料が消費され、大気中の温暖化ガスが増加してゆきました。汚れた空気が蔓延化してゆきます」
 「実は、多くの人達がこれを危惧していたのですが。寒さを防ぐ手段として、これを止められなかったのです。そして・・悲劇へと繋がります・・」
 ここまで語って、この地球人は一息つきます。
 
 「もう、お解かりでしょうね」 と、サドン人たちを見渡す。
 「太陽の黒点活動が始まったのだ!」 と、セエタが言った。
 「太陽風プラズマが宇宙線を跳ね飛ばし、雲を吹き飛ばした」 と、ウリキ。
 「黒点活動が活発化し、温暖化が始まった」 と、シャーリキ。「冷房にも、巨大なエネルギーが必要だ」 
 「実用可能な、あらゆるエネルギー源へと対象が広がります」 と、地球人は語り続ける。