ホームへ

嘘空間記2SOSブラックホール(パート1)

子供の頃、少年雑誌で、小松崎茂さんの絵物語 「地球SOS」 を読んだ。バグア彗星人に攻められる地球の物語であった。
銀河の中心ブラックホールを攻めるものはいるのか?

節へ  (2) (3)


(1)

 天の川は銀河、巨大な渦巻星雲である。
 渦巻きは回転をつづける。
 星には遠心力がはたらき、外へ飛び去ろうとする。銀河は拡がり膨張をつづける。
 しかし、中心にもひきつける力がある。
 求心力である。
 銀河の中心にはブラックホールがある。
 ブラックホールに起きている奇想天外な出来事、あなたも空想してみませんか。
 空想は自由。
 読むのも自由。
 
 空想が想像を呼び、想像が創造を呼ぶ。
 創造がまた、空想を呼ぶ。

 我々地球人が観察出来るのは、およそ2万6000光年以前の姿である。現状はわからない。


 西暦2055年、地球は病んでいた。
 資源の枯渇と環境の汚染が加速度的に進んでいた。放射能汚染は際立って危険であった。
 科学技術は進歩を続けていた。


 ブラックホール、それは光をも吸い込む存在である。それ自体を見ることは不可能である。しかし、その周辺を観察することによって、本体の存在を確かめることが出来る。
 その限界空間を”事象の地平線”と呼ぶ。これは周囲空間との境界空間である。事象の地平線では強いX線が観測される。このX線は物質がブラックホールに吸い込まれるときに発する信号である。
 
 銀河中心のブラックホールの質量は太陽の約300万倍である。太陽の質量は地球の約33.3万倍に相当する。
 3.000.000X333.000で、つまり地球の質量の約999X10の9乗倍に相当する。
 地球の質量は約5.974X10の24乗kgだから、ざっと計算すると、銀河中心のブラックホールの質量は5.97X10の34乗kgである。想像出来ない巨大な質量である。
 しかし体積は比較的小さい。
 ブラックホールになるには、太陽の30倍以上の質量が必要となる。
 この太陽の30倍の質量をもつ星の場合、自らの重力で無限に縮みはじめる。縮みつづけて直径が180kmまで達すると、こつ然と姿がきえる(シュバルツシルト半径X2)。この星の表面の引力が、光や電波も外へ出さないほど強くなるからである。
 太陽の30倍質量の星の直径が、たったの180kmである。
 ちなみに地球の直径は約12800kmである。
 太陽の300万倍質量をもつ、銀河中心ブラックホールの直径は180kmのおよそ10万倍になる。
 それは約18.000.000kmであり、太陽の直径約1.400.000kmの、およそ13倍以下に過ぎない。さらに縮みつづけている。
 
 ブラックホールは文字どうり、中心にある重力崩壊の場(点?)を除けば、ほとんどが、暗い密度の薄い空間であろう。重力崩壊の場とは、重力を支えていた中性子の反発力(縮退圧)が限界をこえた結果、重力の重さで、際限なくつぶれてゆく場のことである。
 
 ブラックホールは渦を巻いて回転している。
 渦巻きには入口があれば、出口もある。
 我々は、ブラックホール(B)の出口をホワイトホール(W)と呼ぼう。
 
 地球での竜巻は地表から物を吸い込み、天空へ放出する。渦潮は海表から海底へと巻き込む。
 
 ブラックホール渦巻きの入口は、我々の住んでいる宇宙の中にある。
 では、出口はどこにあるのか? 大略すれば”@ 同じ宇宙にある。A 別の宇宙にある。B 出口はない。C それぞれの組み合わせ”の四つのパターンとなる。

XXXX

 @ 同じ宇宙に出口のある場合を想定する。
 この場合、ブラックホール(B)渦巻きは、同面で逆渦巻きホワイトホール(W)、と遭遇したとき、互いに相殺し合い、同等質量分の渦巻きエネルギーが消滅する。B本体は縮小する。
 
 A 別の宇宙に出口がある場合を想定する。
 別の宇宙とは異次元宇宙である。
 これはSF(サイエンスフィクション)に、よく用いられる。ブラックホールが異次元空間に通じる通路となる。ワームホールにほかならない。天文学者のなかには、これを考える動きも盛んである。

 B 出口がない場合を想定する。
 これに対する解答は、現実的である。
 天文学者等が解答をさがしている。ビッグバーン・超新星爆発などが提起されている。

XXXX

 地球上の生物は、呼吸し、有機物をつくりだす。また、その有機物を食べて生きる。食べて成長し、実り、次世代へと受け継ぐ。
 活動力源は、化学変化に伴なって発生する熱エネルギーである。
 エネルギーは宇宙のいたるところに存在する。
 地球生物のエネルギー源はほとんどが太陽に依存したものである。


(2)

 2055年、銀河中心のブラックホールの付近で、これまでになかった事象が観察されていた。
 X線や他の電磁波が減少していたのである。

 事象の地平線から20光時間の位置を、ブラックホールの渦の流れに逆らっている物体がある。
 黒点である。
 捉えるべき光や電磁波がない。この点ではブラックホールと同じである。
 しかし、この黒点のまわりでX線・電磁波は消える。”電波やX線を吸い込んでいる!”と結論づけられた。
 ガスや星を吸い込み、周囲にX線を放出しつづけるブラックホールとは根本的に異なる。
 謎の物体は、まず、天文関係者にセンセーションをまきおこした。
 新ブラックホールあるいはノンブラックホールと名づけられ、略称のエヌビー(Nb)が採用された。
 時は経過し、エヌビーは大きさを増していく。地球からの観測である、黒点の変化はごくわずかである。
 エヌビーが発見されてから十年、劇的な変化が生じた。
 エヌビーは黒点でない姿を現してきた。同時に、数個のより小形のエヌビーを周囲に放出したのである。
 放出された小形のエヌビーはブラックホールの周辺に分散し、渦に逆らって止まる。同様に電磁波・X線を吸収する。

 姿を現したエヌビーはブラックホールから、しだいに離れてゆく。もはやエヌビーではなくなった。小惑星であった。
 天文学者はmエヌビー(マザーNb)と名づけた。
 彼女(mエヌビー)は、自らの光を発しない、小さな天体である。何処へともなく、恒星の陰に隠れて消えていった。
 
 さらに十年が経過する。数個のエヌビーは、mエヌビーへと変化し、それぞれが数個のエヌビーを放出して、ブラックホールを離れていった。
 かくして、エヌビーはその数をしだいに増してゆく。そして、ブラックホールを覆ってゆく。X線を吸収し、ブラックホールを不明確にしていった。


 2101年、地球は放射能汚染が進む。分厚いコンクリートで遮蔽された、地下居住区が増えていった。
 ガン・白血病が著しく増えていた。人口は2001年の約半分まで減少していた。
 地球を取り巻くオゾン層は、ほぼ消えていた。強烈な紫外線が地上にふりそそいでいた。
 温暖化は進み、陸地は減少していた。気候の変動が生活リヅムを破壊した。
 
 進歩をつづける天文学、望遠鏡が太陽系に向かって近づく惑星をキャッチしていた。
 小さな惑星である。彗星とも異なる。
 恒星間をすごいスペードで、スイングバイしながら、ケンタウルス座α星A・Bを経て、太陽にもっとも近い恒星プロキシマを通過した。
 そのスピードは、なんと秒速15万kmと計算された。光の50%の速さである。−−−スイングバイとは惑星の重力を利用しながら進む航法ーーー
 恒星プロキシマから太陽まで4.24光年である。8.5年後には太陽系に突入するかもしれない。
 過去にも、彗星が太陽や木星に衝突した例はある。その場合、地球への影響は対処できないほどのものではなかった。
 この惑星の直径は約100m、多種金属からなる惑星と断定された。
 
 最大の問題は、地球への衝突にあった。
 この惑星のサイズは、前世紀にあって、恐竜を絶滅させたと考えられている衝突惑星の、約百六十分の一である。しかし、地球に衝突した場合のその影響は多大である。たとえ、砂漠地帯や大洋の真ん中であったとしても。
 まして、大都会や人口密集地を直撃した場合は大悲劇が待っている。
 
 一方、天の川中心のブラックホール、事象の地平線におけるエヌビーは数を増しつづける。
 そして、mエヌビーも宇宙へ拡散しつづける。
 ブラックホールに入る(吸い込まれる?)エヌビーもある。


 惑星は太陽系に近づく。
 惑星の名はユー(U)と名づけられた。unknown(未知)のUである。
 太陽系の最も遠くを回る冥王星に近づく頃、急激にスピードを落とした。
 スピードを落とし、衛星のごとく冥王星軌道をまわりはじめた。冥王星の衛星カロンと同じ軌道の対極を180度離れてまわる。
 大衝突による地球の悲劇は回避されたのか?
 
 「不思議な星だ・・・」 各地の天文台でも、この星の話題が沸騰していた。
 その矢先に、またもや新たな情報が飛びこんできた。
 「惑星Uがパルスを発している!」 この場合のパルスとは、周期的に発する電波の脈動である。
 「パルスを発しだしたのは冥王星軌道にのってからだ。リズムをもって発している」 
 
 数日後、パルスを発しつつ海王星軌道に移る。
 逆行してまわる海王星の衛星トリトンの外側を、悠然とまわり始めた。
 「まるで生き物だ!」 関係する人々のほとんど全てが、このように思った。
 「生き物ならば、あのパルスは言葉ではないのか?」   
 「すでに解読に動いている」
 
 世界中のメディアも動き、マニアが色めき立つ。
 スーパーコンピューターが活動する。
 ”生きている鉱石惑星” Uが人類のなかで沸騰していった。

 パルスに関して、色々な言葉が解釈され、マスコミに流れる。
 それらしい返答がUに向かって送られる。
  
 やがて、Uは天王星の軌道に移る。Uの発する信号(パルス)は同じリズムをつづける。
 ある日、ある天文台に電話がかかってきた。
 「自分は日本人、謎解きマニアである」 とまえおきした後、彼は言った。

  「Uが発するパルスの意味は数の13です。極めて単純な値です。13の意味するところはアルミニュームの原子番号です。パイオニア10号に積まれた、”アルミ金属板に画かれた、宇宙人への手紙を見た!”と言うメッセージだと推理します」
 パイオニア10号は1972年3月3日に打ち上げられ、1973年12月3日に木星軌道にのった後、1983年6月13日に太陽系から脱出して、宇宙の彼方に向かった。通信は途絶えている。高い知能を有する宇宙人との出会いを求めて。

 国際宇宙機関は直ちに、このパルスを数字として解析した。
 そして13をアルミニューム(アルファベット化)としてUに送信した。
 即、Uから返信があった。13とアルミニュームであった。
 地球の各機関は俄然色めきたった。”交信が可能となったのである。
 まず、各元素の原子量に相当する、周期律表の原子番号と相応する原子名をすべて送信した。
 結果、”Uは、これら全てに対応し、アルファベットをも理解していた!” すばらしい頭脳を有している。

 Uは呼応するように、木星軌道に入ってきた。
 「地球のテレビ放送を送ろう。彼は地球を、我々を理解するだろう。会話が可能になるだろう」
 Uの意図は何処にあるのか、不安や期待や好奇心が入り混じり交差する。
 地球世界の関心は頂点に達し、止まらない。
 月基地の、破壊兵器”スーパープロトン砲”と人工衛星が警戒迎撃体制に入った。
 世界中が警戒体制に入った。


(3)

 木星軌道に入って2週間、Uから新たなメッセージが送られてきた。
 「私は安住の地を求めてやって来た。地上に降りたい、許可してほしい。害をあたえないことを約束する」 であった。
 国際統一機関は、その判断をしだいに冷静化していった。とりあえず返答を送った。
 「希望場所は?」 
 「私のメッセージを、最初に理解した人間の住む場所を希望する」 であった。そこは日本であった。地球機関はメッセージを送る。
 「安住の意味が不明確である。あなた(U)の生活形態が不明である。あなたの実体を、もっと正確に、我々地球人に明らかにしてください」 
 Uからの返答は簡潔であった。
 「私は老年である。数ヶ月で命を終える。アンドロメダ星雲のブラックホールで育った。我々は、放射エネルギーが食料であるが、もはや必要でない。放射線を栄養化して成長した。私の身体は、あらゆる元素を造りだすことが出来る。我々の種族は、最後のありかたを、自ら選ぶ。私はパイオニア10号を放った地球を選んだ。最初に私のメッセージを理解した日本人と話したい」 
 
 ”Uは、アンドロメダ星雲ブラックホールのmエヌビーらしい”
 ”Uの直径100mに及ぶ多種金属体が、X線を含む多様の電磁波を栄養源として育った” 
 またもや、新たな衝撃が地球世界にはしった。エヌビーはブラックホール周辺の豊富な電磁波で育っているのである。
 「まるで、核融合炉のような生物だ!」
 「いや、素粒子融合炉だ!」
 
 情報を伝え聞いて、
 「私に話させてください」 日本人が言った。
 Uの望んだ男であった。彼は日本の中国地方の山地にすんでいる。
 名は、机化一(つくえ けいち)、55歳の男である。
 国際統一機関は、慎重に打ち合わせ、彼の対話を許可した。もれる事のない特殊な電波信号で。
 
 机化一は、Uに言った。
 「あなたが地球を、安住の地として、はるばる飛来されたことを歓迎したい。しかし、地球の生物は今病んでいます。病みの大きな原因の一つは、放射能汚染です。あなたは放射線を食して育ったと聞いています。地球に充満している、我々地球生物にとって有害な放射線を、食べることが、今でも可能ですか?」
 Uは返事を返す。
 「私は今でも、あなた方に有害な放射線を含む、あらゆる電磁波を食することが出来る。しかし、もはや身につけることが出来ない。食した電磁波は全て排泄せねばならないのだ」
 「あなたは、有害放射線を、無害な金属に変えて、排出されるわけですね」 机化一が聞く。
 「そのとうりです」 と、U。
 「金属の種類は?」 と、机。
 「必要なもの、如何なる種類でも、あなた方の望みのものを排出可能である」 と、U。

 交信を傍聴する、国際機関の人達に様々な思惑が走る。
 
 Uと机化一の会話はつづく。
 「あなたの降りたい場所は?」 と、机。
 「この宇宙で、かって遭遇したことのない場所、有機体生物が多く生息し、かつ海に近い場所である。日本の海岸を希望する」 Uの返答は明確である。
 「了解しました。返答を待ってください」 机化一との交信は一旦終えた。

 Uに気に入られているらしい日本人、机化一をまじえて、国際機関で、対応が検討された。
 「希少金属がほしい」 「金を造ってもらいたい」 「合金はつくれないのか?」 等種々様々な意見がだされる。
 「住民に危険性はないのか?」 「砂漠の真ん中に降りろ」 「放射能汚染の進んでいる場所がいい」 
 「Uに、仲間のmエヌビー達を呼び寄せてもらって、地球を豊にしようじゃないか?」 
 意見や思惑は止まることがない。
 
 机が言った。
 「まず、Uの言葉を尊重すべきだ。その後で、彼と話し会おう」 Uの残り寿命は数ヶ月、放射能汚染を除去してもらうのが先決でもある。
 机が交信を再開した。
 「こちらはツクエである。あなたの条件をのみます。あなたもこちらの条件を受け入れてください。あなたの着地点は日本の鳥取砂丘です。あなたの望んだ条件に合う場所です。こちらの条件を述べます。地球の通信等に用している有用な電波を損なうことなく、有害放射線を食し、取り除いてください」
 Uから即返答がきた。
 「ありがとうツクエ、これから鳥取砂丘に向かう。地球周回軌道に入り、高度を下げつつ有害放射線を吸収してゆく。望みの金属はなんだ?」
 机はためらうことなく答えた。
 「アルミニュウム。地球とあなたを結んだ金属です」 
 通信会話を傍受する機関員の中に不満の声がもれる。「金だ!、ゴールドを望むんだ!」
 構わず、机は対話をつづける。
 「有害放射線源への対策は?」
 「有る。有害放射線を吸収しつつ鳥取砂丘へ向かう」 Uからの通信は途絶えた。

 Uは地球周回軌道に入った。
 地表に近づいてくる。
 放射能汚染の進んでいる全地域の地表を、緩やかな速度で巡航する。
 直径約100m、円盤状の鉱物生物が放射線を選択吸収してゆく。
 「すごい!」 
 「すばらしい!」
 地球人すべてが、脅威の目を見張る。
 「有害放射能が消えてゆく!」 観測担当者が感嘆の声をあげる。

 Uから発射された砂状物質が、汚染源である原子力発電廃棄物貯蔵庫を被う。
 事故を起こし、停止中であり、汚染源となった原発にも砂状物質が放たれる。
 全ての汚染源に砂が取り付く。
 「汚染源からの放射線漏れは停止した!」 計器を見すえる観測担当者は唸る。喜ぶ。
 
 地球の周回を終えて、Uが警戒体制の鳥取砂丘に着陸した。地球上の有害汚染放射能は消えていた。
 Uへの歓迎と感謝のメッセージが、地球規模で送られる。
 Uから返事がくる。
 「お安い御用でした。この様な珍しい星、地球に来られて嬉しい。この様な素晴らしい場所を、自分の安息所に出来て嬉しい。感謝しています」
 季節は三月初旬、日本海の荒波が飛沫きとなって、ときおり彼の片面を洗う。
 彼は、地球の自然を楽しみ、味わう如く、動かない。
 鈍い光を発す灰色の、巨大な碁石が一つ、下方の一部を砂に埋めて、そこにある。
 「アルミニュウムを排出する。約10kg、放射能封鎖砂を造った残りの汚染放射線残量分です」 側らに丸いアルミニュウム塊が落とされた。
 そして、彼は対話を閉ざした。
 如何なる呼びかけにも応じなかった。死したごとく。
 
 「なぜ、金塊を要求しなかったんだ」
 「チタンが欲しかった」
 「もっと有用な希少金属があった」 
 
 放射能汚染は消えた。
 もはや、Uに食してもらう”もの”は無い。
 Uの寿命は、彼が言ったように、尽きてゆくのだろう。
 ・・・時は経過してゆく。

 そんなある日、机化一はUの側ら、砂浜に腰を下ろして、飛沫に濡れるUを眺めていた。
 飛び散った桜の花びらが波にのり、Uに付着する。
 
 「ツクエケイチ、君と話したい」 声が聞こえてきた。声にならない、静かなUからのテレパシーであった。
 机は驚いたが、動揺は軽かった。彼は親しみを込めて返事をした。「どうぞ、なんですか?」 テレパシー会話である。
 U 「地球は美しい。宇宙でもっとも美しい星だ。美しさをもたらしいている者は地球の生命だ」
 机 「私も、そう思っている」 
 U 「その地球で、もっともおぞましい存在がある。それも地球の生命体だ」 
 机 「とりわけ、人間がそうでしょう」 
 U 「そうだ。生命を食して生きる生命、一つの問題はそこにある」
 机 「ほかにも?」 
 U 「欲望だ、地球生命体は欲望なくしては生きられない」
 机 「欲望の中、欲望を求めて、人間は永遠に彷徨っている」 
 U 「そのとおりだ。地球人は永遠の冒険者なのだ。
    地球人は目を外に向けて冒険しなさい。それが、いつまでも美しい地球という星を保つ唯一の方法だ」
 机 「地球人には、あなたのような能力がない。宇宙への進出は遅々として進まない」
 U 「私が援助する」
 
 すっと、机化一の姿は砂浜から消えた。
 さらに時は経過し、机化一が姿を現した。
 ・・・そして言った。
 「Uは死んだ」 残骸は残った。
 地球人には破壊が困難な、強固な残骸であった。


 Uの生産したアルミニューム塊は、机の進言によって、十数枚の平板に加工され、それぞれが”宇宙人への手紙”となって、広角に、宇宙のかなたに発射された。
 宇宙人との遭遇を期待して。
 「今度こそ、”金塊を生み出してくれるU”に来てほしい。古い原子炉を与えよう」 などと目論む者たちも含めて。
 
                                  (完)  2004.03.02
ページタイトルへ
                                    パート2へつづく